クロス取引による株主優待タダ取り

クロス取引って何?

クロス取引ってなに?

「クロス取引」とは、簡単に言えば
「同じ日に同じ株を、同じ数だけ同時に売り買いする」ということです。

これだけ聞くと、
「その日に買った株を同じ日に売る」ということのような気がしますが、そうではありません。

その日に買った株を同じ株価で売りに出すと、
プラスにもマイナスにもなりませんので、それは意味がありませんよね。

クロス取引の場合は、「現物取引で株を買って、信用取引で株を売る」という方法です。
現物取引というのは自分が持っている資金の範囲内で株を買うことで、
信用取引は証券会社からお金を借りて株を買うことでしたね。

それとは逆に、信用取引では
「実際には持っていない株を証券会社から借りて売る」ということもできるのです。
これを「空売り」と言います。

このクロス取引には、一体どんなメリットがあるのでしょうか?

① 株主優待を受け取った上で、損をすることがない

例えば受けたい株主優待があったので、A社の株を権利つき最終日に買ったとします。
しかし、その後の権利落ち日に株を売ったら、買った値段より安くなってしまい損失が出ました。
株主優待と配当金は受け取れても、
それよりも損した金額が大きくなっては意味がありませんよね。
こういったことを防ぐために、クロス取引は有効です。

この時、A社の株を権利つき最終日に買うと同時に、
同じ数の株を信用取引で「成行注文」を使って売ります。

権利つき最終日は全体的に株価が上がる傾向にありますから、この方法で損をすることなく株主優待を手に入れられる可能性があるのです。

② 節税できる

例えば10万円で買ったA社の株が30万円で売れたら、
20万円の利益が発生するので税金を払わなければなりませんね。

しかしもし今自分が持っている株の中に、
30万円で買ったのに今の株価が10万円になっているもの(B社)があれば、
これをいったん売って「損失が出ましたよ」ということにして、同じ数だけB社の株を買い戻せば、一見「利益と同じ金額だけ損をした」と見せかけられます。

これもクロス取引にあたります。
確定申告で上のようなことを書けば、2つの損得を埋め合わせして税金は払わなくてよくなりますから、クロス取引は節税の意味でも有効な方法なのです。

クロス取引はどうやってやるの?

では、クロス取引の流れについて見てみましょう。
今回はより仕組みが複雑な「信用取引を使ったクロス取引」に注目します。
株主優待をお得に手に入れるためには、どのような手順が必要なのでしょうか?

①権利つき最終日の寄り付き(市場が開いた時)で、目当ての株が「成行注文なら1000円で買えますよ」と出ていた場合、1000円で買い注文を出します。仮に100株としましょう。

②そして、同じように信用取引を使って
「1000円で株を100株売ります!」という成行注文を出します。
これが自分が①でやったように成行注文ですんなり売れると、
その時点で利益と損失はプラマイゼロになりますから、現物取引で買った100株の株価がこれから下がることになっても、関係ありません。
この時点で、株主優待の権利はもらっていることになります。

③翌日(権利落ち日)まで持ち越せば、既に株主優待の権利は与えられていますので、
持っている株はどういう風にしてもよいのですが、借りた金額と同じ値段で売れてしまった場合、信用取引で借りた株の返済がまだ終わっていませんね。
ですから、「現渡し」という方法で返す必要があります。

④現渡しとは、信用取引の返済を自分が今持っている株を渡すことで返済することです。
今手元には現物取引で買った株が100株あるはずですから、
それを証券会社に引き渡して、信用取引分をなかったことにします。
売らずにそのまま渡すことによって、売買手数料を削減することもできるので、非常に便利です。

クロス取引の注意点は?

このように、クロス取引は非常にお得な手段なのですが、注意点もあります。
以下の項目を確認しておきましょう。

①「逆日歩」で損をする可能性もある!

逆日歩(ぎゃくひぶ)とは、信用取引の空売りをしようと考える人の数が実際の株の数より大きくなってしまい、貸す株が足りなくなる現象のことです。
こうなってしまうと、証券会社は「足りなくなった分、レンタル料を支払ってください」と言わねばならなくなります。

このレンタル料は株が不足している数によって割り出されるため、
最大いくら、と目星をつけることはできません。
場合によっては思いのほか損をすることもあるため、注意が必要です。

この「逆日歩」を回避する方法として、「一般信用取引」を選択するというものがあります。
一般信用取引は、返済期限を投資家と証券会社の間で決めることができる信用取引のことで、逆日歩が発生しません。
ですので、クロス取引を行う場合は「一般信用取引ができる企業の株を狙う」というのがおススメです。

②信用取引の口座を開設しなければならない

クロス取引を行うためには、当然信用取引をするための口座を開設しなければなりません。
これは通常の取引口座とは別にお金を入れておかなければならないので、
その点ちょっと面倒ですし、資金も必要ですね。

また、信用取引口座は「貸株サービス」などを利用したい場合、これがあるとサービスを受けられない恐れがありますので、どちらを優先するかよく考えましょう。
クロス取引は利点も大きいですが、その分デメリットもあるのです。

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