短期投資と長期投資

長期投資=「投資」、短期投資=「投機」。その違いは?

株式取引の種類と手法はたくさんあり、個人のやり方や好みが大きく関係していきます。
株取引の初心者の方は、まずは投資の種類にはどのようなものがあるのかを知っておきましょう!

これまで株を買ったり、売ったりするのは
企業編への「投資」だという風にお話してきましたが、投資と似た響きで、新聞やニュース等を観ているとたまに聞く言葉に「投機」というものがありますね。
投資と投機には、一体どのような違いがあるのでしょうか?

①投資は企業と株主が長期的に対等な関係を結ぶこと!
投資というのは、基本的にはその企業の株を買って、
資金を提供するかわりに「株主」として配当金をもらったり、
株主優待を受けたり、企業の方針にアドバイスができたりすることでしたね。

これは企業にとっては会社を運営するためのお金をもらえ、
株主にとっては会社を運営する一員としての権利をもらえる。ということで、
どちらにも利点があります。

つまり、企業と株主が対等な関係を結んでいるのが「投資」です。
投資をしてもらった企業は権利を与えたかわりに得たお金を返さなくても構いませんし、
株主は権利や値上がり益によって利益を得られる可能性があるため、急に倒産したり、株価が下がったりして損をしても、それを理解していなければなりません。

企業と株主がお互いに持ちつ持たれつの関係になっているのが、投資の理想ということですね。
投機に比べ、長期間に渡って株を保有し続けることで、
その関係を大事に保とうとするのも投資の特徴です。

②投機は短期的に売買し、自分の利益を優先すること!
上の「投資」に対して、デイトレードをはじめとした短期的な売買を繰り返し、
利益を出そうとするものが「投機」です。

これも株を買って売る、ということで、単純な形に違いはないのですが、
投資がその企業がこれからも成長するように助ける意味合いもあるのに比べ、
投機は「自分の利益を一番に考える」という特徴があります。

こう書くと何だか人が悪いように感じますが、これも立派な株取引のあり方です。
元々は皆もちろん配当金や企業での権利、値上がり益を期待して株をやり始めるわけですから、
ただ単に方法が異なるだけで、投資と投機に大きな差はありません。

投機は株の保有期間を短くすることで、
その企業に対しての責任(倒産や株価の暴落による損失)を取らなければならないリスクを最小限に抑えるということになりますから、
初心者の方はたいていこの「投機」からのスタートになるのではないでしょうか。

では、長期取引と短期取引には、それぞれにどのような利点があるのでしょうか?
見てみましょう。

短期取引と長期取引、それぞれのメリットは?

■短期取引のメリット

①倒産や株価暴落によるリスクが少ない
長期的に株を保有していると、その企業の業績が非常に悪化した時や、
倒産の危機に陥った時に損をする恐れが出てきます。
短期売買を中心にしていると、そういったリスクが少なくなりますね。

②勝てば勝つほどお金が増える
株取引で一番大きな利益はやはり「値上がり益」です。
株を買って高くなったタイミングで売る、ということを繰り返すことで、
たくさんのお金がもらえるかもしれないという期待は大きくなりますね。

③株の動きを細かく知ることができる
短期取引では、株価の変動を細かく見る必要があります
これは逆に言えば、その株が上昇トレンドに乗った時や下降トレンドに乗った時、素早く目に留まりやすいということにもなりますから、その分利益や損失の可能性をさっと掴むことができます。

■長期取引のメリット

①配当金や株主優待を長期的に受けられる
配当金の利回りが高い企業や、魅力的な株主優待を受けられる企業の株を持っていた場合、
その恩恵を繰り返し受けることができます。
特に数年以上株を保有してくれた人に対して特別な株主優待を行っている企業もありますから、要チェックです。

②ゆっくり株の動きを見守ることができる
短期取引が株の動きを事細かにチェックしなければならないのに対し、
長期取引では焦らず株の動向を見守ることができます。
自分では知らず知らずのうちに資産が増えていることもありますから、とりあえず投資してみたいけど、いちいち株の変動を見るのは疲れる!
という方は、長期取引で安定した大企業に投資するのがおススメです。

③NISAを利用する場合は、長期取引がおススメ
最大5年まで株を非課税で保有できるNISAを利用するなら、長期取引がよいでしょう。
NISAは初年度で100万円分の投資まで非課税になりますが、
逆に100万円分その年に売ってしまったら非課税枠がなくなります
そのため、4~5年間ゆっくり株の価値が上がるのを見届けたい方におススメです。

短期取引と長期取引、それぞれのデメリットは?

■短期取引のデメリット

①一度の利益が小さい
株は値幅制限によって一日に上下する株価が決まっているので、
買った株をすぐに売っても、あまり大きな利益は期待できません。
逆に損失も少ないと言えるので、少額なら初心者の方が練習する気持ちでやるのには最適です。

②勝ち続けることはできない
株取引は、専門家でも100%勝ち続けるのはまず無理だと言われています。
短期取引を繰り返すということは、その分負ける確率も上がるということです。

③細かく株の動きを把握しなければならない
短期取引を繰り返すには、ずっと株の変動を追っていなければなりません。
これはかなり時間を取られますし、本業にできない方は難しいでしょう。

■長期取引のデメリット

①倒産や株価暴落によるリスクが大きい
長期取引では、長きにわたって同じ企業にコツコツ投資し、
結果的に大きなお金を預ける場合が多いので、
企業が倒産したり株価が暴落した時のリスクも大きいものになります。

大株主になれば残余財産の請求ができますが、
まず残余財産がない、ということもありえますから、
一つの企業に拘ることはそれなりに危険があると思っておきましょう。

②すぐに利益を上げることはできない
決算ごとに配当金や株主優待はもらえますが、
数年スパンで見守ってから売買する長期取引は、短期取引と違ってすぐにお金を手に入れられるわけではありません。

③銘柄選びが難しい
大企業の中でも、安定して長く利益を上げてくれるところを探すのは難しいと言えるでしょう。
最終的に必ず得ができる!とは限りませんので、初心者の方には不向きとも考えられます。

このように、短期取引と長期取引にはそれぞれに利点と難点があります。
どちらに向いているか、何を目的にしているかを考え、しっかりと自分のスタイルを持って臨みましょう。

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